2010年03月06日

シアターコクーン・オンレパートリー2010 「上海バンスキング」

16年振りの復活上演となった オンシアター自由劇場 「上海バンスキング」

過去、2回観ている。

今回公演のプログラムを見てあらためて確認したのだが、初演は1979年、初めて観たのが1980年の再演。


ひょえー、30年前だ...


当時の小劇場ムーブメントを牽引していたのは、つかこうへい劇団と野田秀樹率いる夢の遊眠社だったと思う。

すでに死語になりつつあったアングラという言葉と異なる地平で、彼らの芝居は跳躍していた。

しかし、「上海バンスキング」 は...

アングラどころか、そんな時代最先端における格闘からも、あっさり背を向けていたように思えた。

六本木の地下にある文字通りのアンダーグラウンドの小劇場だったが、上演された芝居は、すでにスタンダードの風格をかもしだしていた。

役者による生演奏にも驚いたが、ストーリーのカンペキさに目がくらんだ。

とはいえ、同じストーリーでありながら、深作映画版がまったくの別物になってしまったのも事実...

渋谷のフランチャイズ劇団となってから、もう一度この作品を観ているのだが、洗練されたなあという印象だけが残っている。


16年振り復活の今回、”配役は公演当日の開演1時間前に発表”というアナウンスが唯一の不安だった。

他の配役はともかく、まどかがダブル・キャストだったりしたら、テンションがた落ちになるところ。


キャストは、ほぼ30年前のままでした。

主な配役で変わったのは、リリーくらいだと思う。

当時は、余貴美子。

最近じゃ、映画「おくりびと」に出てました。

同じく映画、TVの売れっ子となった笹野高史小日向文世は健在。

そして何より、吉田日出子の変わらぬオーラ。

cocoon20100303.jpg

日本演劇史上、屈指の音楽劇 (ミュージカルではない) という感想は、30年たっても変わらない。

なんで他の作品を観ていないのに、そんなこと言えるのか、って?

でも、そう言うしかないんだよな。


ものすごく覚えているつもりでも、やはり忘れているところはあるものだ。

テーマ曲の演奏で楽しく終わるという印象がとにかく強いのだが。

まどかが壁によりかかり、静かに陽がそそぐラストが、今回は脳裏に焼きついた。

まるで一枚の名画のようだった。

もうひとつ、新たな感想を付け加えるとすれば。

おそらく、観客の感情移入からもっとも遠い位置にある弘田について。

左翼学生から軍部の要人に「転向」したこの男、思いもかけず自分に一番近いキャラクターなのだと気づき、ハッとした。


プログラムで、戯曲のなかの好きな台詞を出演者たちに聞いているので、それではワタクシめも。

好きというか、毎回シビれる台詞。

”ああ、この匂い? これはね、上海の苦力たちの汗の匂い”

上海に着いた当日、”何? この匂い?” というまどかに、”上海の潮風と苦力の汗が混ざった匂い、まあ1ヶ月もいれば慣れるさ” と思わず言ってしまうシロー。

4年後、バンドに参加した青年に、当時のシローのように上海の匂いを解説するまどかの台詞です。

上海の4年間という時の流れが凝縮されたこの一言で、劇場空間が、三次元的にも四次元的にも広がっていく。

観るたびに、この台詞で、あの頃の、夢のひとときの上海に、一挙にトリップさせられる。


終演後、ロビーでの演奏では、吉田日出子さんの天然ぶり全開。

”バンスキング演れて幸せ、またやるかも?”みたいなこと、ポロっと言って、まわりがビビっていたように見えたけど、大丈夫?

イベント
 
2010/3/6
 
上海バンスキング Bunkamuraシアターコクーン 
 
作/斉藤憐 演出/串田和美
 
正岡まどか        ・・・・・・ 吉田日出子
波多野四郎        ・・・・・・ 串田和美
松本亘(バクマツ)    ・・・・・・ 笹野高史
林珠麗(リリー)     ・・・・・・ さつき里香
弘田真造         ・・・・・・ 小日向文世
白井中尉         ・・・・・・ 大森博史
ガチャンコ・ラリー    ・・・・・・ 真那胡敬二
方            ・・・・・・ 服部吉次
王            ・・・・・・ 酒向芳
シングリー田口      ・・・・・・ 内田紳一郎
レイモンド・コバチ    ・・・・・・ 片岡正二郎
宮下           ・・・・・・ 三松明人
私服刑事         ・・・・・・ 小西康久
陸戦隊兵士木下      ・・・・・・ 大槻秀幸
田上医師         ・・・・・・ 戸石みつる
サーシャ・スヴェトラーナ ・・・・・・ 稲葉良子
マレーネ・シュミット   ・・・・・・ 阿部祥子
楊麗           ・・・・・・ 玉井夕海

posted by かくらん堂 at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇場にて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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